シンコです。最後の仕上げです。音程、リズム、テンポ等基本的なことはクリアしたものとして、表現力を上げていかなければなりません。先生から、この組曲の構成についてお話があったように、水の一生を歌っています。1 空から降り注ぐ恵みの雨は私たちを潤し、成長させてくれます。全てのものの上に静かに降り注ぐ雨は、私たちを本来あるべき姿に戻してくれるかのようです。2 雨が上がった後の水たまりは、行き場のないもどかしさ、いずれは消えてしまう苦悩を人間に例え、それでも小さな希望を抱いている様子です。3 土に染み込んだ水が地表に現れて川になったものの、何故さかのぼれないのか、と自身に問います。山や峰、青い空に憧れる中、逆らうように在る石やさかのぼろうとする魚を身ごもっていることに気づいた時、もう川が何であるかを問うことは不要となるのです。4 海にたどり着いた水は波となって地表と海を行き来します。大波小波の「見なさい これを見なさい」と言い続けているような繰り返しは「すべてのものは母なる海を目指す定めなのだ」という悟りが開けたことのように思えます。5 汚れたものも全てを受け入れる大きな海は、その中に明るく光るものを求めます。マリンスノーが下から上へと立ち昇っていくさまに、始まりである海の水もまた、憧れる空へ昇っていくことが示され、「のぼりゆけ おお」と歌われます。そして、また、雨となって私たちの上に降り注ぐのです。第1〜4曲で歌われた内容が随所に出てきて、終曲らしさが感じられます。6 「The soul of water 」の「soul 」は魂のことで、魂とは「それがあれば生きているが、それを失えば死んでしまうもの」と作曲者は語っています。抗い、諦め、しかし、憧れ、目指していく人間の魂を、この曲とともに表現していきましょう。